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「アジア研究図書館」とは何か?

 末廣昭
(新図書館構想推進体制・アジア研究図書館サブ・ワーキング・グループ主査、
社会科学研究所教授)

東京大学本郷キャンパスでは、現在、地下自動化書庫の建設工事と並行して、新しい図書館を創る構想が進んでいます。この新図書館は、図書などの収集・整理・保存・提供だけでなく、デジタル化や情報社会化といった時代の流れに対応した新しい図書館サービスの提供も目指しています。そうした全体構想の一角に、私たちが準備している「アジア研究図書館」もあります。

アジア関係図書を日本で収集・保存している代表的な図書館は、国立国会図書館関西館(京都府相楽郡精華町)、東洋文庫(東京都文京区)、日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館(千葉県千葉市美浜区)、京都大学の人文科学研究所図書室や東南アジア研究所図書室(京都府京都市左京区)などでしょう。海外に目を転じますと、ハーバード・イェンチン(燕京)図書館、コーネル大学図書館、ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)、オーストラリア国立大学(ANU)などの名前が浮かびます。

一方、東京大学本郷キャンパスは、漢籍、中国語文献、韓国・朝鮮語文献、あるいは旧植民地関係資料(朝鮮、台湾、旧満州などに関する本や資料)をはじめ、多数のアジア関係図書を保存しています。その数は数十万冊にのぼる一大コレクションです。ただし、これらの図書や資料は総合図書館のほか、東洋文化研究所、文学部、経済学部、法学部、農学部、教育学部、情報学環、社会科学研究所などの部局図書館に分散しています。典型的な例が中国関連図書です。そのため、学生や研究者の立場から見ますと、所蔵する図書を効率的に利用できるような環境は、これまでありませんでした。

「アジア研究図書館」は、部局がそれぞれ保有している本・年鑑・統計類・雑誌類などを、総合図書館内の4階フロア(開架式)、地下自動化書庫(閉架式)、そして、東洋文化研究所図書室に併設する漢籍類を置く「分室」の3カ所に集中し、利用者に対して総合的で効率的な図書館サービスを提供することを目的とします。また、附属図書館に「寄付研究部門」を設置し、アジア関連文献(ベトナム語、タイ語、ペルシャ語などの各国・地域の現地語文献を含む)の整理と共に、現地語文献にもとづく地域研究や図書館学に精通したサブジェクト・ライブラリアンの育成も計画しています。[2014年設立のU-PARL(アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)はこちら]

2013年7月から8月にかけて、関係部局に対して予備的なアンケート調査を実施しました。その結果、アジア研究図書館の計画に賛同し、将来、提出に協力していただける図書や雑誌の数は、全体で約74万冊(雑誌を含む)にも達することが分かりました。その内訳は、辞典・統計年鑑などを含む図書類が36万4000冊(和書7万8000冊、洋書11万冊、中国語文献13万3000冊、韓国・朝鮮語文献1万8000冊、アラビア語文献9500冊など)、雑誌が約8900タイトル、12万4000冊(和雑誌、洋雑誌のほか、中国語3万6400冊、韓国・朝鮮語1万1500冊を含む)、漢籍類が25万冊(貴重書13万冊、一般書12万冊)となっています。

部局図書館が所蔵している既存図書の集中管理のほか、アジア研究図書館では、寄付金などを原資にアジア関係の貴重書あるいは高額コレクションの購入も構想しています。また、すでに退職されるか退職を控えた先生方が、個人で所蔵しておられる特定地域の貴重な現地語文献や資料も、「寄贈図書」として受入れ、地下自動化書庫で保存して、研究者の利用に供することも考えています。

アジア研究図書館を無事開設し、円滑に運営していくためには、たくさんの課題をクリアしていかなければなりません。総合図書館4階の開架式書架に、どのようなルールで図書を選別し配架するのか、地下自動化書庫に収蔵する雑誌や個人のコレクションをどのように管理し、迅速な閲覧サービスを提供していくのか、中国語や韓国・朝鮮語だけでなく、特定地域の現地語の図書整理をだれがどのように進めていくのか、サブジェクト・ライブラリアンをどのように育成していくのか。夢が大きく膨らむと同時に、課題の多さを前にして足がすくむ思いがします。しかし、こうした課題をひとつずつ克服し、遠くない将来にアジア研究図書館の計画が実現すれば、それは間違いなく日本を代表し、世界に誇れるアジア関係図書館の誕生を意味します。また、東京大学のアジア研究図書館が、将来、国立国会図書館関西館、東洋文庫、アジア経済研究所図書館、京都大学人文科学研究所図書室や東南アジア研究所図書室などと連携して図書館サービスを提供すれば、日本のアジア研究はさらに進展するものと信じます。

私たちは今後、この「東京大学新図書館計画ウェブサイト」やU-PARL部門サイトを使って、さまざまな関連情報や進行中の活動について発信していきたいと考えています。ぜひ、みなさまからのご協力をお願いすると同時に、アジア研究図書館の計画について、忌憚のないご意見を寄せていただきますよう、お願い申し上げます。(2013年12月25日)

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